Chanmanの日記

作家と読書とセルフコーチングのブログ。 私の作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しております。

アリスとの日常 1

アリスと魔法

 

アリスとの生活は非常にゆっくりとした一日を送っている。張り詰めた空気は一切なく、その日その日を味わうような生活だった。

 

朝起きて、朝食を取って、森を探索し、薬草や花、いつも食べている木の実を集め、食事をとり、昼寝をした。椅子に座って昼寝をしているのだが、起きるといつの間にか小さな魔女は自分の足に寄りかかり眠っていた。そんな日が続くと不思議と心が穏やかになっていった。そしてお昼寝が終わるとアリスは魔女としての仕事が始まるのだ。

 

ダイニングのその向こうの扉にはいると、部屋をキラキラと明るく照らす小瓶が三つ、机の上の棚に大切そうに置いてある。そのほかには目立った物は見当たらず、魔法に使用する薬草や花が籠の中に丁寧に置いてあった。

 

小さな木の器に小川の一番澄んだところの水と薬草と花びらを浮かべ、アリスがそっと息を吹きかける。するとその薬草と花びらはたちまちその色と、鮮やかさを増した途端、水と薬草と花びらは一瞬にして消え、小さな光の粒となる。

アリスは準備した小瓶の中へと誘うように片手を優しく添えるとその光はふわりと瓶の中へと落ちていった。すべての光が小瓶の中に収まると、コルクの蓋で栓を閉め、愛おしそうに胸に抱きとめ、「ありがとう」とつぶやく。その後、小瓶を丁寧に棚に並べて、魔女としての仕事が終了する。

 

初めはその小瓶に光を集める光景見たさに、部屋に訪れその一部始終を見ていたが、次第に小瓶を優しく抱きしめる時のアリスの表情を見たいがために部屋を訪れるようになった。

終わった後、そばまで駆け寄ってくると、じっとこちらの顔を見つめあげる。

 

これは一度、魔法の美しさに魅了され、褒めてあげ、アリスを頭を撫でてしまったことがことの発端だった。頭をなでると子猫のように目を細め気持ちよさそうにしている。この魔法が使えるようになったときに、アリスの母も頭を撫でて褒めてくれたのだろうか。

 

その魔法は自然の力を借りて、少しずつ少しずつ、この大地に恵みを与える魔法だという。他の命を犠牲にして人は生きており、そこに感謝の思いをのせ、真心を尽くせば自然は応えてくれるとアリスの母は、アリスに教えてくれたそうだ。

 

アリスの母が病に倒れ、その命が尽きるそのときまで、感謝の思いの大切さを毎日アリスに語ったそうだ。

その命が尽きる瞬間、最高のおまじないをアリスに本人にかけてくれたらしいが、そのときのおまじないのコトバを思い出せないとアリスは言っていた。

アリスの母はそのときが来れば必ず、自然とわかるようになると教えてくれたそうだが、ロビンもどのような魔法、否、おまじないかどうか気になっている。

しかし、アリス本人が思い出さない限りそのおまじないを聞くことはないだろう。

 

思い返せば、お世話になっている村はよく実り、豊かな村だ。それに今まで転々としてきた村の中でもダントツの獲物の量であり、本当にこの魔法のおかげでこ地は潤い、豊かになっていると思い始めていた。そうなるとアリスはこの地で、村で、とても重要な存在なのではないかと思案する。

アリスの母は一週間に一度程度でその効果は持続するというが、アリス本人は毎日行わないと効果が出てこないという。頑なにこの地を離れるのを嫌がる理由もこれなのかもしれない。